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イラスト/田近裕子さま  



「ゆいが行く!」更新停止中です。
  なかなか更新できないので徒然花茶(雑記)に統合しました。

2003年5月30日
ゆいが猫っぽいのは、かねてから感じていたことだ。しかし近頃、ゆいはとみに「猫」になりつつある…ような気がする。
犬はそもそも猫属になるのだけど、もちろん猫科ではない。だが、ゆいを見ているといわゆる先祖がえり(?)が起こっているのかもしれない……しみじみ。
久しぶりに陽射しが広がった今日、ゆいは朝ごはんを食べるや、嬉々として掃き出し窓を引っ掻いて「お外に出るの」コールを始めた…朝寝もしないで、というのはゆいにとってすっごく珍しい現象だ。
サッシを開けるやゆいが一目散に飛び出していく。庭のヘビイチゴの赤い果実も今日で見納めになるやもしれぬ。むろん、ゆいの腹に収まってだ。
そういえば子供の頃、私もヘビイチゴが食べてみたかった。まだ若い緑の雑草たちの中に色づく可愛い赤は飴玉のように輝いて見えて、なんだかとても美味しそうだった。
「毒があるから」と母にきつく禁じられたため、ついに食するのは断念したまま現在に至るが、ゆいが食べても無事なところをみると嘘だったらしい(笑)。
閑話休題。
地面に鼻を押しつけるゆいのしっぽが、何が楽しいのか、ふるふる揺れている。ミミズでもほじくり返して食べているわけではないだろうな…食いしん坊の「娘」を持つといらぬ心配をせねばならぬ。
とはいえ、いつまでもゆいを見ているほど暇でもないので、そのまま放っておいたのだけど、一時間ほどで気が済んだのか、ゆいは「家に入る」コールを始めた。結構振り回されている飼い主なのだ。
ところが部屋に入るや、ゆいがゲホゲホ始めた。喉に何かが引っかかっているようだが、なかなか吐き出せず、水を飲んでも水だけ吐き出す。雑巾を手にその後を追う私…何となく想像がついているので、なんだか空しい。
ゆい、しばしの苦闘の末、その口から飛び出してきたのは、見事に丸く成形された草玉だった。――おぬしは猫か…!!

2003年3月28日
桜が咲きはじめた。野趣あふれる我が家の庭も雑草が芽吹き、冬眠しくさっていた(眠ってばかりいた)ゆいも、うららかな陽射しに誘われて庭に出ている時間が長くなった。
で、何をしているかといえば、生野菜を食んでいる…いや、見栄は張るまい――雑草を貪り食っているのである。決して食事をあげていないわけではないので、誤解のないように。
この季節のお好みはツンツン伸びたイネ科の(雑草の)若芽。つい先日、獣医さんに「少し太っちゃったねぇ」と叱られた飼い主の気も知らず、オオイヌノフグリの瑠璃色の花をたくましい足で踏みしだき、無心に貪るゆいを眺めていると、なんだかこちらまで心が和んでしまうから不思議なものだ…力が抜けるとも云うが…。世は押し並べて事もなし――平和だ…少なくとも、ゆいだけは。

2002年11月21日
ショックのあまり書きそこねていた「悪夢ふたたび事件!」である。
知人から新潟勝沼産の新米コシヒカリが送られてきたのは、かれこれ1ヶ月ほど前になる。
我が家の米びつは5sしか入らない。ゆえに10sのお米のうち、5sは袋のままゆいの口が届かない高さの棚にしまった。無論、ゆいには前科があるからだ。
そう……あれは生後10ヶ月位だっただろうか。米の袋を食い破って生米を貪り食った挙句ピードンドン――甚だしく腹をこわすという、とんでもない前科がゆいにはあるのだ。
生米は消化しないことをご存知だろうか。つまり、このときは部屋中噴水のごとく未消化の生米が噴出されるという……新聞紙を敷き詰めた部屋で、思い出しても泣きたいような事態となったわけである。パンパンに張った腹を前に医者にも呆れられ、もう叱る気力すら失ってしまった悪夢……少々太り気味だったゆいのダイエットにはなったと己を慰めるには、あまりにも悲惨な情景であった。
当然それ以降は、食べられないと思うものでもゆいの口の届く範囲には決して置かぬよう注意していた。それでも口は届かぬからとついテーブルの上に出しっぱなしにしちゃったピザの残り(とはいえ、Mサイズ1枚分はあった)が、朝起きたらテーブルクロスごと引きずり落とされ、食い尽くしていた「朝ごはん抜き!」絶叫事件とか、なぜだか蟻の進入が酷かったので買ってきた「蟻用コン○ット食っちゃって夜中に医者に駆け込み胃洗浄される」事件とか、まあ、平穏な日が長く続いたためしはない。だいたい、飼い主の気が緩んだころを狙うように(わざとじゃないと思うけど)何かしらやらかしてくれるんである。
そして今回、事件は草木も眠る丑三つ時に進行していた。家人が何かを出すために、棚にしまっておいたコシヒカリを下ろしたところまでは覚えている……あとはあえて言うこともあるまい――悪夢ふたたび、である。
情けないことに、このような不測な事態には私もいい加減慣れているから、今さらじたばた焦りはしない。食い破られた袋と、散らばった米と、ゆいの腹を見比べて、私は無言で(言葉も出なかっただけ)部屋中に新聞紙を敷き詰めたのだった……。
さすがにゆいも成長したせいか、貪るうちに何日か絶食を余儀なくされたという、ゆいにとっても悪夢だった事件を本能で思い出したのかは不明だが、以前とは量を加減したらしく、覚悟していたより悲惨にはならなかったのだが、それがなんの慰めになる?!

そして実りの季節をむかえた今、彼女は、鳥さんしか食べないであろう庭のピラカンサの実を貪り食う毎日である。フェンスに前足をつき、思いっきり身体を伸ばして無心に食するお尻の可愛いこと、後姿のなんと情けないこと……。幼い頃はやはり消化されなかった赤い実も、この頃ではすっかり消化できるようになったゆいの腹は、着々と進化を遂げているのかもしれない。

2002年8月20日
今年の夏は厳しかった。飼い主に似てか、暑さに弱いゆいもエアコンとお友達状態だった。
でも、やっぱりオバカなんだなぁ……そこが憎めないというか可愛くもあるのだけど(笑)。
ゆいには家の中は快適でも外は死ぬほど暑いという認識がないらしく、窓をカリカリ引っ掻いて「庭に出るのー」「何が何でもでるの」「出たいのよ、出してーっ」「出しなさいよっ。カーテン齧っちゃうわよっ」と、さんざんアピール(脅迫)して、出てみる。そして、5分もするかしないうちに、今は「家に入れろ」コールである。学習能力があるのかないのか…単に目先の欲望に忠実なだけだな、たぶん…。ゆいはこれをほぼ毎日くりかえしている。
エアコンの効いた部屋にもどったゆいは、暑さのあまり般若顔になっている…コワイ…。そしてねだった氷をカリカリ食べて、おもむろにソファで伸び、瞬く間にお昼寝タイムに突入するのだ…ズゴゴゴーとイビキまでかいて。情けなくも、ま、すでに見慣れた光景ではある。
ところでこの度、常日頃から寝腐ってばかりいるゆいが、すばらしい指標となることに飼い主は気づいた。エアコンの温度設定である。
まず、ゆいが寝るときは常にクッションの下に頭を突っ込む。いわば頭隠して尻隠さずが基本姿勢である。これはおそらく幼少のみぎり、ムートンの袋にもぐり込んで寝ていたためと思われ、春夏秋冬かわらない。
そして、気持ちがよいと四肢を思いっきり伸ばして腹をさらして寝ているのだが、少し涼し過ぎると四肢は伸ばしていてもうつ伏せになって腹は隠す(うん、お腹冷えるといけないもんね)。さらに室温が低すぎると丸くなって寝ているのだ。
一目瞭然。素晴らしいサーモなゆいを発見した夏であった……嬉しくもないけど。

2002年3月21日
春分の日…暑さ寒さも彼岸までといわれるが、今年の春はせっかちさんである。すでにマンサクもミツマタもレンギョウもコブシも桃も桜も一斉に咲き始め、春爛漫の風情だ。
南極の氷棚が大規模な崩落を起こしているなどのニュースを聞くと、花々の無節操な咲きっぷりを無条件に喜んで良いのか複雑なものがあるものの、ちょっとした北国の春気分?
もちろん寒がりのゆいも、遂にファンヒーターの前を離れ、春のうららかな陽光を楽しんでいる……まあるい腹で。
のうのうと伸びて寝ているのはよしとしよう。そのくらいじゃ、もはや私も驚かぬ。だが、完全に仰向けになって(チンチンの格好で寝ているといえば分かりやすいだろうか)寝るか、普通? 
いや、家の中なら分かる。分かりたくないが、何度も目にしているから分からざるを得ない。
だが、庭である。屋外だぞ? 隣の家の屋根には鋭いくちばしを光らせたカラスがいるよ? 
そりゃ、生物(ナマ物)を狙うほど悪食なカラスもいないだろうけどさ、普通、動物ってそんなに気持ちよく腹を晒さないんじゃないかね。
うちはよく動物ドキュメンタリーを観るんだけど、通常危機回避の本能から、動物は一番柔らかい腹は晒さないものらしいのだけど……?
薄桃色の腹に陽光が煌めいているね。夜中に徘徊して、ワインの1.8リットル瓶三本入った箱を鼻力でどかした上、タッパーに入れて棚の奥深くしまっておいたおやつを全部食っちまうほど、食い意地がはっているキミのことだから、万が一何かあっても大丈夫だと思っていたけど、あんた…絶対野生じゃ絶対暮らせないね。分かってはいたんだけど、わたしゃますます確信を深めたよ。いや…そんな贅沢はのぞまないが、この子は野良にすらなれないかもしれない……。
たくましく育てるつもりだったんだけど、やっぱり育ての親がのんびりしている(しすぎている)以上、無理もないことかもしれないと、おやつの盗み食いでふくふくしたゆいの腹を見守りながら、なんとなく、どよ〜んと情けなくなってしまった私であった。

2002年1月12日
この時期にしては、4月の陽気だという暖かかった今日、ゆいは異様に落ち着きがない。
散歩、朝ごはん、そして、なにはともあれ、まず朝寝をするのがいつものゆいだ。
それが! 今日は朝寝もせず、やたらと外へ出たがる。テリトリーの庭ではなく、外、へだ。
柵をくぐろうと地面を掘ったり、フェンスの間に頭を突っ込み脱走を試みる。あげくに無理に突っ込んだフェンスの間に肩をつかえさせ、ジタバタ騒ぎを起こすに至る。うーむ……尋常ではない。
不精もんにしてはあまりにも、いつもらしからぬゆいの様子に、もしや大地震の前触れでは? 地震の前にはねずみもいなくなるというし。
我々はあーだこーだと予想しつつも、どうしても真剣になりきれなかった。だって……いつだったか、夜中に結構大きな地震がきた時、飛び起きた私は、ゆいが怯えているのではと心配して見に行くと、こいつはピクりともしないで、毛布にもぐったままぷすぷす寝ていたのだ。地震を予測するような繊細な神経を持ち合わせているとは、どーーーしたって考えられないではないか。
そして……やはり何事もなく、ゆいのジタバタ騒ぎはなんだったのか、謎は謎のまま残され、今日の日は終わった……。確信できるのは、朝寝と昼寝を犠牲にしたゆいは、明日は1日寝腐っているだろう。それはもう、たぶん、きっと、絶対!!

2001年12月28日
今朝は冷えたらしく家人が起きてきた時、ゆいはすでにタイマーセットしてあったヒーターの前で長々と敷物になっていた。むろん、ぷすぷすと寝ていたのである。散歩に誘っても片目を開けてみるだけ。「じゃ、知らないよー」とゴミ出しをしていると、ようやくその気になったらしい。いかにも渋々と重い腰を上げる。
あのね、誰も好き好んでこの寒空に散歩行きたい訳じゃないの。あんたのために、あと30分は長くいられるお布団に泣く泣く別れを告げているんだぞ。
人の気持ちを知ってか知らずか(たぶん何も考えていないだろう)、ゴネた分10分短くなってしまった散歩コースをタッタカ早足で歩き、所定の場所で用を足し、もう帰るの、とばかりスコスコと家路につく。戻るや大急ぎでヒーターの前で仁王立ち。どうやら腹を暖めているらしい。
しばしの後、お座りして温風を堪能する。そして、振り向けばキミは薄紅色の腹を出して、気持ちよさそうに眠っていた。
あのさ、どんなに寒かろうと、人間様はキミのご飯代を稼ぎに行かなきゃならんのよ。大掃除もしなくちゃならないの。「わんっ」て、それは寝言かい?
脱力の風景を横目にしつつ、今日の日が始まるのであった。ちょっと、むっ。

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