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一言覚書*コミックス編

あとり硅子/今市子/小栗左多里/篠原烏童/皇なつき/山田章博/よしながふみ
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四ツ谷渋谷入谷雑司ケ谷!! 2  あとり硅子
コミックス
四谷くんが好きだー♪
1巻での四谷くんのエネルギッシュな活躍がおとなしめになったと感じていたら、あとりさんの訃報にショック…。しみじみと残念でならない。



孤島の姫君  今市子
コミックス
ホラーありファンタジーありミステリーあり文鳥(?)ありと、ジャンルも、キャラクターたちの傾向をとっても多種多彩な作品集。コミュニケーション・ギャップの面白さや、ホラー的な状況を逆手に取ったコメディが、なんとも愉快。それでいて味があるんだよね。絵の巧みさとキャラクター造型、そしてコミカルなストーリー、テーマの多彩さが持ち味の漫画家さんなんだなあ…しみじみ。


幻月楼奇譚  今市子
限りなく昭和初期に近い時代の物語ということ。さすが今さん、ほっこりとするような洗練された和の雰囲気が美しい。物語もお得意の伏線張りまくりの謎解きが多く、「百鬼夜行抄」のような妖しさも随所にある。とぼけた味わいのある味噌屋の若旦那の升一郎と、なにやらいわくありげな幇間の与三郎のキャラクターが魅力的。続きは…また三年後か? でも待つわっ♪


百鬼夜行抄 第12巻 今市子
いつもながらよく練られているのだけど、今さん、お忙しいのかな…少し絵が荒い気がする。
ストーリーはほんのりずれたユーモアと切なさが程よくミックス。ツボ押さえているなー。尾白と尾黒の活躍(?)が少なかったのがちょっと残念。



ダーリンは外国人(1-2)  小栗左多里
ハンガリーとイタリアの血を引くダーリン・トニーさんとの日々の暮らしが綴られた爆笑コミックス。
トニーさんの人柄がとてもユニークでチャーミングなことも相まって、国際結婚の日常には多くの「?」や「!」が溢れている。国際結婚も結局のところ個人と個人との関係で、結婚生活ってものが異文化交流みたいなものかもしれない。面白いだけではなく、外国人が暮らしにくい日本の実情もちゃんとシビアに描いている。



傷口ーKIZUー  篠原烏童
烏童さんお得意の、いわゆる「香港ノアール」というジャンル。英国領であった香港で、なぜか「ノアール」という仏語が命名されている謎はさておき、優雅にして残酷な響き「ノワール」には魔的な引力がある。
敵と味方が入り乱れ抗争を繰り広げる香港黒社会。その最中に巡り合ったのは幼いころ生き別れた弟だった。裏切りと怨念が逆巻く世界で、生き抜くために闘う孤独で寂しい男たち。その生き様がなんとも切ない。


殺手−ヒットマン−    篠原烏童
これも香港ノアール。何度も銃口を向け合いながら、どうしても相手を撃つことができない男たちの関係がえっちくさい。「だけど、おまえが望むなら、一緒にいけるぐらいのきもちはあんだぜ」――この言葉で彼は救われたのか…? 泣ける。



黄土の旗幟のもと  皇なつき
「明末清初」というややこしい時代を背景に、人々を救うためにどのように生きたらよいかと苦悩する李信を描いている。ただ、物語の最後に明末清初の人物達を一枚絵とともに説明しているとはいえ、作品としては中途半端に終わっている。登場人物はとても魅力的に描かれているし、ストーリーの骨格がしっかりしているだけに残念。もしかしたら史実で李自成の天下取りが失敗したことを知っているためかもしれない。義軍の旗を上げた彼も、最後は敢えなく死んでしまう…歴史はシビアだ。



紅色魔術探偵団  山田章博
コミックス
個性的なキャラクターたちが、レトロで摩訶不思議な世界で、摩訶不思議な事件の謎を追てかけるって感じだけど、なんともとぼけた味わいが魅力。マッドサイエンティストのドクターや、自称美少女の梨華にいいようにこき使われてしまう、小悪魔くんが素敵♪ なんたって、「羽生やして飛び回るか、銃で撃たれても死なない程度の魔力を有す」という、微妙にいい加減なことろが彼の魅力。


おぼろ探偵帖  山田章博
コミックス
文明と妖怪が入り混じる明治初期を舞台にした探偵帖。当初は「紅色魔術探偵団」のアナザバージョンだったということで、化物の先遣り夜雀、狸穴法師とその弟子のお百と、登場人物は例の三人組だが(↑)、なんとも絵が艶かしく美しい♪ もちろん、どこかとぼけた味わいも大いに健在。



大奥  よしながふみ
コミックス
男女比が激変し、男が貴重な存在になった世界、という奇抜な設定とはいえ、ちゃんと時代背景を理由付けしているのがすごい! もちろん、役割を逆転させたから面白いのではなく、登場人物や時代背景がしっかりしているからこそ、荒唐無稽な設定が生きているのだ。そして装丁の美しさ、艶かしさ。大奥のお約束「イジメ」も「同性愛」もある、華やかな絵巻だ。
八代将軍徳川吉宗(もちろん女性)の、男前な気性がかっこいい!!


愛がなくても喰ってゆけます。  よしながふみ
コミックス
食べ物への愛情と執着が凝縮された魅惑のグルメマンガ。同人時代から、作品に登場する食事シーンがやたら具体的だったので、きっと食いしん坊な方だろうと想像していたので、ある意味、納得の1冊――私、この方と絶対気が合うと思う(笑)。食道楽的価値観エッセイに加え、お店の紹介などもしていてガイドブック的にも使える。ただし、お腹が空いている時に読むのは要注意…人生が虚しく感じてしまう。


ジェラールとジャック  よしながふみ
コミックス
ジェラールに愛されることで自分に自信を持ち、成長していくジャックと、あるコンプレックスから愛情を胡散臭くにしか受け止められないジェラールが、純粋な愛を捧げてくれるジャックに魂ごと救われるというストーリー。前半は、平民出身のジェラールと没落貴族の少年・ジャックの、さりげない情愛が深まっていく過程が印象的。後半からは、一気にフランス革命前夜という激動の時代に突入。密告あり逃亡あり、ついには死を覚悟してみたりと、怒涛の展開でとてもドラマチック。
平民と貴族であり、主従関係でもあり、そして年の差カップルとして、ちりばめられたギャップがコミカルに描かれる一方、ベッドシーンはちょっとエロティック。




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